毎日が告別式

人生どん詰まり元芸大生のブログ

好きになった男がやばい奴だった(再熱編)

 

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 翌日、希死念慮と感動の邂逅を果たした私は、精神科に向かった。リーゼを貰った。めっちゃ効いた。しかし発達障害なので2日で無くした。やばい。部屋中探したけれどみつからない。しかしもう一度病院にいく元気はない。そして生理がこない。これまでぴったり28日だった生理周期が、完全に狂ってしまった。

 

 500円玉貯金を崩した。このままではメンタルが死ぬので、家から徒歩数秒の距離にある熱帯魚屋でベタという魚を買った。強い魚なので、とくにポンプもフィルターもいらない。(あった方がいいが)私の住んでいるシェアハウスは、とにかくブレーカーが落ちる。すぐ落ちる。自室のある二階は特に酷い。なのでこれまで水槽は一階のリビングに置いていたのだが、あまりリビングにいると奴とのエンカウント率があがるので長居はできない。しかし自室には移せない。フィルターとヒーターとポンプの電力に耐えられるか怪しいからだ。あと単純に水替えがしんどい。現在は、毎日三度の餌やりの時だけリビングに行き、一瞬で餌をやり、体調をチェックし、奴が出てこない時間を見計らって週に一度水替えをしている。しかし寂しい。魚がいないと寂しい。もっと魚をじろじろ見たい。

 

 なので、電源なしで飼えるベタを購入した。熱帯魚なのでどうしても冬場はヒーターがいるので、その時はリビングに引っ越しさせる。でも今だけは自室で一緒だ。毎日じろじろ見ている。めっちゃ威嚇される。名前はにじうお君。子供の頃に読んだ「にじいろのさかな」という絵本に出てくる、綺麗なうろこを持った魚にそっくりだった為、そう名付けた。ここ最近、バイトと演劇の稽古(リモートでやっている)以外では魚としかしゃべっていない。もうだめだ。誰も信じられない。魚しか信じられない。

 

 私は奴のことが好きだった。本当に好きだった。だから、奴の「問いかけに答えようが無視しようがそれは自分の自由であり、その結果自分が損をすることになってもそれはそれで仕方がない」「僕の無駄になった時間」という意見が無茶苦茶無茶苦茶無茶苦茶ショックだった。人の気持ちを考えられない奴だな、と思っていた。でもまさかここまでとは思わなかった。損得でしか考えられないのか。無視された相手の気持ちは考えられないのか。私は、奴は人の気持ちがわからないなりに、人の痛みに寄り添える人間だと思っていた。だから何度地雷を踏まれても、その都度見ないふりをしてきた。

 

 そう、見ないふりをしていたのだ。恋は盲目とはよく言ったもので、今思い返してみれば、奴は「やばい奴」である片鱗を今まで何度もみせていた。例えばある日、奴がとある飲食店に行った。しかし、特に混雑していた訳でもないのに、注文した料理がいつまでたっても来なかったという。店員(外国人)に確認したら、特に謝るでもなく、やっと料理を持ってきた。それが非常に不快だったという。まあわかる。「二度ときませんって言った」という。いや、まあ、気持ちはわからないでもない。しかしそれわざわざ言う必要あるのかな……。さらに「俺は時間単価いくらの○○(職業名)だぞ」とか言ってくる。えっやばない???

 

 またある日のこと、シェアハウスの隣の土地で工事が行われていたのだが、その作業員がちょっと感じが悪かった。丁度その時、庭で劇団の大道具を作っていたのだが、私たちの会話をきいて「関西人だ」とか、ヒョウ柄の靴をみて「うわほんとにヒョウ柄だ」みたいな感じの事を言われたのだ。その話を奴にしたら、かばってくれたつもりなのだろうか、フォローしてくれたつもりなのだろうか、「あいつら僕らがいないと仕事ないのに」とか言う。えっやばない??????

 

 一度蓋を開けたら、次から次に嫌な思い出があふれてくる。私はなんでこんな男のことが好きだったのだろうと絶望した。いやでも、あのときのあんな姿が好きだったとか、こういう所が好きだったとか、それもまた真実なんだよな。誕生日に「パラパラ漫画あげる」って言われて、めくったらハッピーバースデーと書いてあって、それを読んでる隙にプレゼントもってきてくれたり、毎晩のように遊んでくれたり、将棋のことを教えてくれたり、私の面倒な質問にも答えてくれたり、疲れてリビングで寝ていたら布団をかけてくれたり、私の自己肯定感を蘇らせてくれたり、結果希死念慮をとっぱらってくれたり。それもまた真実なんだよな。まあまた希死念慮爆誕してんけど。

 

 前回も変な男にひっかかってしまった私は、「なんて見る目がないんだろう」と落ち込んだ。すると、それを見た友人がこんなリプライをくれた。

 

「何年か前に気づいてんけどな、男を見る目がないのではなくて、人が気づかない細かいその人の『いい所』を見つけるの上手いっていう場合もある。みんなからみてあんまりな人でも、この人のここが! みたいな。まあ、みんなからみてどう見てもいい所が多い人と一緒にいる方が幸せになりやすいけどな」

 

 泣いた。映画化しようかと思った。この友人は本当に人の良い所を見つけるのが上手い。そういえば、彼女と知り合ったのも上京してきてからだ。奴のおかげで自己肯定感が生まれた、とばかり思っていたが、よく考えてみたら、今の私の身の回りには、私の事を肯定してくれるたくさんの人がいる。だから、そのうちの一人があかんかったからって、別に私が落ち込む必要はないのである。

 

 それに、今回の件は、別に奴は悪くないのだ。奴は好き勝手に生きているだけで、私がかってに「いい奴」だと思い込んでいただけなのだ。勝手に「いい奴」だと思い込んでいた奴が、「やばい奴」だと判明して、勝手に裏切られた気になっているだけなのだ。そう、別に奴は悪くないのである。

 

 が、しかしである。まだ話は続く。奴が企画した飲み会、それは、シェアハウスに住む友人Aの誕生日祝いも兼ねていた。友人Aはとてもいい人で、ここに引っ越してきてから、私が最初に心を開いたのもまた彼女である。しかし、色々あって飲み会は参加できない。だから、ケーキだけ作ることにした。彼女だけでなく、シェアハウス内の人間の誕生日には、よくケーキを作る。その人の好みに合わせてワンホール作るのだ。


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 そして、飲み会の前日にケーキが完成した。シェアハウスの共同ラインに写真を送り、「切るときは包丁を温めてね」と伝えた。そして飲み会の翌日、冷蔵庫をあけると、綺麗に全部残っていた。まったく手をつけられていなかった。さらに、すぐ近くに、それとは別の大きなケーキの箱が置いてあった。

 

 冷静に考えたら、「あとから食べようと思ったんだろうな」と思えたんだろう。しかし奴の件で精神が死にかけていた私にとって、それは致命傷だった。泣いた。声を出して30分くらいぎゃーぎゃー泣いた。もう何もかも無理だと思った。

 「ケーキいらなかったね。捨てとく」と子供のようなメッセージを共同ラインに送った。すると、友人Aとはまた別の人から「あれ昨日用だったの?」と返信がきた。「みりんちゃんがいるときに食べようと思って」と、何故か友人Aではなくまったく別の人がそうフォローしてくれた。

 いやそんなことってある? ハッピーバースデーって名前まで書いて、当日いないから切り方まで書いたのに、昨日用って思わなかったってそんなことある? しかもわざわざ別の新しいケーキまで用意して?

 

 聞けば、その新しいケーキは奴が用意したのだという。

 

 えっえっえっえっえっ。また泣いた。最近すぐ泣く。私がケーキを用意するか直前までわからなかったから、ケーキを発注してしまった。ということらしい。

 

は??????????????????????????????

 

 私は友人Aの誕生日ケーキの事を、奴に何度も相談していた。どんな味付けが好みかな、誕生日は家にいるかな。最近ずっといないから、いないなら作ってもしょうがないし。そうなんども相談した。それで、作るかどうかわからなかった????????そらいないなら作らないとは言った。しかし奴が誕生会を兼ねて飲み会をすると言った。じゃあ居るからイコール作るってことになるやろ???????えっならん????????????????えっこれ私が間違ってる??????????????え???????????????????????????????????????????????

 

 

 それまで奴に対しては絶望とか恐怖しかなかった。今までうまいうまいと食っていた肉が、実は人肉だったと判明したときのような気持ち。しかし、ここで初めて怒りが芽生えた。無理。無理。無理。殴り飛ばしたい。無理。ありえんやろだって。えっこれ私がおかしい?????????????ねえこれ私がおかしい?????????????????????????????????????????????????????????????????えっさすがにあいつが悪くね??????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????

 

 

 

 もうすべてが無理なのである。

そんな奴との思い出を元に作ったリモート演劇をやります。

詳しくはこちら。

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 転んでもただでは起きねえ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

おわり。