毎日が告別式

人生どん詰まり元芸大生のブログ

不登校Youtuberゆたぼんさんに思うこと

私は不登校になりたかった。

保健室登校に憧れた。不登校に憧れた。

でも私にその選択肢はなかった。

「死にたい」と言えば「そんなこというな」と怒られた。

「なぜ死にたいの」と一回でいいから聞いてほしかった。

「学校に行きたくない」と何度も言った。でも「どうしても学校に行きたくない」と強くは言えなかった。なぜだろう。私にも意地があったのか。それか、「なぜ死にたいの」と聞いてもらえない環境にいたから、「どうしても学校に行きたくない」と強く意思表示しても、「行きたくないなんて言うな」と突っぱねられるとわかっていたからかもしれない。

義務教育期間は地獄だった。本当に地獄だった。

 

最近話題のユーチューバーに、ゆたぼんさんという小学生がいる。

詳しくはこちらを参照。

togetter.com

 

炎上している。

現在彼のツイッターアカウントには、たくさんの心ないリプライが寄せられている。

学校にいけ、学校にいけ、学校にいけ。

もちろん彼のことを思ってそう伝えている人もいるが、ただ炎上を楽しんでいるだけのような人も多い。

なぜ炎上したのか。色々理由はあるだろうが、一番はこれだろう。

 

ゆたぼんが学校に通わなくなったのは小学校3年生の時。宿題を拒否したところ、放課後や休み時間にさせられ不満を抱いた。担任の言うことを聞く同級生もロボットに見え「俺までロボットになってしまう」と、学校に通わないことを決意した。現在も「学校は行きたい時に行く」というスタイルを貫いている。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190505-00000002-ryu-oki

 

わからないでもない。小学校や中学校の教育はまるで軍隊のようで、同調圧力で圧死しそうになる毎日だった。なんでこんなことしなくちゃいけないのと思うことも多々あった。当然私も宿題は嫌だった。

ゆたぼんさんが不登校になったのにはほかにも理由があるのかもしれない。調べても出てこないからわからないけれど。

ただこの「宿題が嫌」と言うのだけが不登校の理由なら、とっても勿体ないなと思う。そりゃ、宿題は嫌ですよ。誰だって嫌だ。なんで学校でいっぱい勉強してるのに、家でまで勉強しなきゃいけないんだろうね。

でもね、宿題にも理由があるんですよ。勉強はいくらしてもしたりないものだから、授業だけじゃ足りないと思うんですよ。

 

私は算数が嫌いでした。この世からなくなれと思っていました。因数分解がなんの役にたつんやと。

国語が好きでした。勉強しなくても点がとれるし、答えは問題文の中に書いてあるし、何より面白いから。でも算数を嫌いになったのは算数に触れたから。国語を好きになったのは国語に触れたから。

義務教育から逃げたら、極端な話これらと出会えなかった訳ですよ。

(極端な話ね、極端な話。図書館にいけばどうこうって話じゃなくて)

 

私の今の人生に因数分解は役立っていない。でも何を役立てるかはその人次第なんですよ。学ぶということは、選択肢を増やすということ。世界を広げること。

学校に行くと色んな物事と出会うから、これは嫌いと思うものが当然出てくる。でも一応付き合ってみる。そのお試し期間が義務教育期間。

嫌だったらやらなくていい。私はいまだに算数が大嫌いなので、計算しないといけないときは電卓を使うし、算数の得意な人たちに手伝って貰う。

 

ゆたぼんさんはまだ10歳。とてももったいないと思う。

選択肢を減らすにはまだ早い。わざわざ道を狭めることはないのに。

 

そりゃもちろん、不登校は不幸じゃない。

学校に行かない自由があったっていい。

でも学校っていうのは、いわば道場みたいなもので、社会で生き抜くすべを(良くも悪くも)教えてくれる。

最近無責任な「逃げて」論が流行っているけれど、逃げた先の僻地で非武装の私たちはどうやって生きていけばいいんだろう。

無責任な大人たちは「嫌なら逃げていいんだよ」と甘い言葉をささやくけれど、彼らは私たちの人生に責任をとってくれない。彼らは私たちより先に死ぬ。

そうなったとき、私たちはどうやって生きていけばいいんだろう。

社会復帰という言葉があるけれど、一度社会のレールから外れたら復帰するのは大変ですよ。学校で教えてくれることが全てじゃないけれど、学校以外から学校並のことを教わるのはとても大変だと思う。

好きなことだけして生きていければいいよねと思う。でも好きなことだけして生きてくのは大変だし、ゆたぼんさんの好きなことって何ですか? 宿題が「嫌い」なのは分かった。学校に行きたくないことも。でもあなたの好きなことは何ですか? あなたのしたいことは何ですか? それは今ある可能性をすべて捨ててまで挑みたいことなのですか?

 

やりたいことを突き詰めて成功した人ももちろんいる。たとえばさかなクン

osakanafurby.hatenablog.com

 昔上の記事で書いたけど、さかなクンは魚が大好きでそればっかりで、先生から「それじゃ社会でやっていけませんよ」的なことを言われたんだけど、さかなクンのお母さんは「この子は魚が好きなんです。それでいいんです」とタコにはまっているときはタコ料理を毎日でもつくってあげてなんて色々してあげていたらしい。

でもこれは特別な例だよね。

ゆたぼんさん、あなたが一番今したいことは何ですか?

それは、今ある可能性をすべて捨ててまで挑みたいことですか?

それを助けてくれる大人はいますか?

さかなクンのそばにはよき理解者であるお母さんがいたけど、あなたのそばにそんな人ますか? いたとして、その人は本当にあなたのことを考えてくれていますか? あなたの「本当にしたいこと」が何かを理解してくれていますか?

 

かつて不登校になりたかった私は、いまのあなたがとても羨ましいです。

でも同時に、とても心配でもあります。

ツイッターに罵詈雑言が寄せられていますね。もちろんただ煽りたいだけの嫌な奴もいます。でもあなたのことを本気で心配している人もいるんです。

 

あなたが不登校になった本当の理由を私は知らない。

もしかしたらひどいいじめにあっているのかもしれない。昔の私みたいに毎日死にたいと思っているかもしれない。そんなんだったら行かなくていい。たとえそのせいで社会に戻れなかったとしても、あなたの命の方が大切なのだから。

 

でももし、「宿題が嫌」というのだけが理由なのだとしたら、もう少しだけ学校に行ってみてほしい。もう少しだけ嫌なことと向き合ってほしい。

それでもし、心がボロボロになりそうだったら、逃げたらいい。周りは平気でやっていても、自分にとってはどうしてもそれが苦痛ってこと、よくある。私にもある。

(私の場合はバイトの日報を書くのが死ぬほど苦痛。タイムカードを切ってから、その日の営業の内容を書かないといけない。当然時給は発生しない。とても苦痛)

だからあなたにとっての宿題も、私たちからしたら想像もできないほど苦しいものなのかもしれない。だからもう一度挑んでみて、本当に耐えられないくらい嫌で嫌でしょうがなくて心がボロボロになりそうだったら逃げてもいいと思う。

 

ただ、逃げた先には何もないよ。

武装のあなたは一人で生きていかなきゃいけないんだよ。

今あなたの周りにいる大人たちは、あなたより先に死ぬんだよ。いまあなたのことを持ち上げている人たちの中には、もちろん全員じゃないけど、あなたを自分の利益のために利用しようとしているだけの人もいると思うよ。世の中には怖い人いっぱいいるんだよ。

 

人生は冒険だって、良い言葉だと思う。

確かに人生は冒険だ。冒険には危険がつきもの。嫌な思いだってする。

学校もその一つだと思って、洞窟に足を踏み入れてみませんか。ランタン持って剣もって冒険してみませんか。もう少しだけ学校に通ってみませんか。

 

なんて25歳のみりんちゃんは思います。

 

 

 

 

おしまい!

お題「もう一度行きたい場所」

 

 

 

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まけもけさんがこの記事について言及してくださってます。

www.gw2.biz

ゆたぼん氏に対して厳しくもやさしさのあふれる記事です。是非。