今年の夏休み、高野山で宗教と触れ合ってきたのだが、私の弟も、下宿先で宗教と触れ合っていたという。宗教勧誘に遭ったのだ。
私の弟は、とても賢い。
高校時代は常に主席で、部活では主将を務めていた。現在は大学生で、当たり前のように特待生だ。
対する私はクソFラン芸大生である。兄弟は足して百とはよく言ったもので、うちの場合は弟が99でわたしが1だ。生まれてくるんじゃなかった。
そんなエリート大学生の下宿先に、宗教勧誘がやってきた。普通の人ならさっさと追い返すであろう彼らと、何を思ったのか弟は一対一で対決したらしい。
やってきたのは若い女性。目がキラキラしていたという。
その宗教に入ると、いいことが沢山あるらしい。例えば、その宗教に入ったら自閉症が治っただとか、視力が回復しただとか。
そして震災が起こっても、その宗教に入っていれば死なないらしい。
弟「いやそれプラシーボ効果じゃないんですか?」
女「そんなことないですよォ」
その宗教には今数万人の信者がいるそうなのだが、これからどんどん増えるらしい。
そしてどういう理屈なのかはわからないが、そのうち六千万人になるらしい。そして信者の数が六千万人になると、教祖の遺歯?が光り輝くらしい。
弟「いやなんで六千万人になったら歯が光るんですか?」
女「決まってることなんですよォ」
わけがわからない。
そしてその教祖の歯は、現在も細胞が増え続けているらしい。
弟「それ見たんですか?」
女「いや見てないですけどォ」
見てないんかい。
そしてこれから地震が起こる場所の予想地図? のような物を見せられたらしい。
女「すごいでしょォ! こんなの見たことないでしょォ」
弟「いや見たことありますけど」
弟強い。
しかし引き下がらない勧誘。そこで弟は、
弟「わかりました。はいります」
女「?!」
弟「これから信者が六千万人になって、教祖の歯が光り輝くんですよね?」
女「はい!」
弟「じゃあ歯が光り輝き出したら入ります」
女「」
弟強い
女「いや、でも、その時お兄さん新潟に住んでないかも知れないじゃないですかぁ」
弟「六千万人でしょ? 人口の半分でしょ? じゃあ僕が何県に住んでいても、その辺の人に声掛けたら入れますよね?」
女「」
その後も押し問答を続けたそうだが、結局女は宗教新聞だけ置いてすごすごと帰って行ったという。なお記事の内容は非常に胡散臭かった模様。弟強い。
しかしそれからも、数週間に一度勧誘が来るという。
弟「最初に来た人は目がキラキラしてたけど、次に来たおばさんはなんか目が澱んでて、じっと見つめたら目をそらしてくるから、宗教の闇を感じた」
弟強い。
歯が光ったら入りますのくだりは不覚にも笑った。
私「あんたそれほんまに歯が光ったらどうすん」
弟「それは……入るしかない……」
どんまい!
いいなぁ、うちにも宗教勧誘来ないかなぁ。
大昔に一度だけ来たことがある。インターホンが鳴ったので受話器を取ったら、聞いてもいないのにハロウィンの由来について語ってくる謎の女。ついにうちにも来てくれた! と大興奮だったのだが、
「興味あります!!!!」
と言ったらそれ以来きてくれない。
なんでだろう。
あなたのために祈らせてくださいとか言われたい。
あといつだったか、胸毛(彼氏)と逢引していたら、お姉さん二人組に、
「私たち今修行してるんですけど、痛いところとかありませんか?」
と聞かれたことがある。腰痛で死にそうだったので、腰が痛いですと伝えたらなんか手をかざされた。(ちゃんと私と胸毛の許可を取ってから)
世間話をしながら手をかざされること数分。
お姉さん「どうですか? 少しは良くなりましたか?」
わし「うーん」
胸毛「うーん」
するとお姉さん達は少しだけ残念そうな顔をしたものの、お礼を言ってから笑顔で去って行った。なんか感じのいい宗教だった。
わし「あのさあ……実はちょっとだけ痛くなくなった気がする……」
胸毛「俺も……」
ぷ、プラシーボ効果だよね!
おわります。